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ら進んで話すことはないが、よそから聞いて知った時は正直に話すことにしようと考えている。
この心境の変化は上の子に真実告知をしたことで、私ばかりでなく「兄貴(上の子)も同じ境遇で兄貴自身も知ってるよ」と云えるようになったからかも知れない。
いままで冗長に書いてきたが、真実告知については早かれ遅かれ、いつかはする義務があり、その時期は養父母自身が判断しなければならないということ、また、早くても遅くても一長一短があるというのが私の結論である。
一方、血縁関係については、まず、私自身の思い出として真実告知を受けたあと、実父母と養子に出た頃の話をしたことがあるが、話の途中で父が席を立って隣室で涙を流していたことを40年近く経った今でも昨日のように思い出す。
私が20才の頃であるから、2才で分かれて18年後であるが、2人の息子のうち、弟の方を、いくら本家のためとはいえ遠い満州の地から九州に出すのは断腸の思いであったろう。割り切らざるを得なかったその時の苦しみ・悲しみが、一度に噴き出して父の涙になったのだろうが、あらためて親の深い心を知り、深い親の心を持ちたいと

 

 

 

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